廃墟の水、遊園地

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今朝みた夢のメモです。

私たちは顔もよく覚えていない4~5人のグループで、廃墟となっている工場の中を探索していた。探索と言っても写真を撮ったり何かするでもなく、ただ、歩いていた。電気が通っているのかわからないが、窓も無いうちっぱなしのコンクリート壁が続く構造の中で、電灯たちも供給されないまま過去の自分たちの記憶を頼りに身を照らしているかのようだった。それは殆ど事切れる寸前のように時折またたき、大抵は他のものを照らす程の光量を持っては居なかった。

会話はしていただろうか、していたとしても覚えていない。少なくとも、親しさでもまたその逆でもなかったと感じる。しばらく歩いて、天井の高い空間に出た。その一番奥まで行くと、私を含めた数人はどこからともなく現れた檻に閉じ込められてしまった。私の夢に、激しい音や衝撃はあまりない。そして、私たち閉じ込められたものもそうでないものも、その事に対して驚くでも無い、ただその事実を淡々と受け入れている態度だ。鉄格子を掴む。ひやりとした感触が手に伝わってくる。

檻のこちら側に居る人間のひとりが、部屋の隅にあったガスのコックをあけ、ホースを持った。気体がしずかに、しかし勢い良く吐き出されているのがわかった。そして部屋の奥からざあ、と水が流れて来た。部屋には排水溝がないらしく、水はどんどんとたまってゆく。いつの間にか私は水に浮き、残された空間はガスが充満している(はずだと思っている)。皆、それらの出来事が決められた手順であるかのように受け入れている。息苦しさを感じ、私の意識は一瞬暗転して、開けた。

独り、外にいた。

物陰に座り込んでいる。

先ほどまでの暗い、閉塞感の有る場所ではなく、陽射しの強い遊園地のようだった。ようだった、というには今からするとあまりにも感覚的な言葉だ。今あらためて映像を思い返すとそれは何ともつかない場所だったと思う。ただ、大通りに見える店や、人々の雰囲気からそのように感じた。夢の中で私は、「ここは40~50年前の場所だ」と認識した。何故かは分からない。空気が今までいた時代と違う気がした。私の足がただ目的もなく動き始める。周りを見ながら。スーツ姿の会社員が路面電車にすし詰めになろうと行列を作っている。ケンタッキーの店舗がまるでこの国初めて出来たかのような行列を作っている。人々の顔がそれを物語っている。店中に掛かっている不必要なまでに大きな看板も、デザインが古くさい印象がありながらも真新しい。ここは、過去なのだ。

夢の中に居るときは、別の夢にリンクできない。出来たなら、過去のアーカイブ同士を行ったり来たりして、永遠に出てこない気がする。

顔も見えない仲間達はどこへ行ったろうか?

これは夢だが作り話ではない。私が見た、そのもの、現実だ。今いる現実と違えど、同じく見えたものである。

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